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タイバニ萌えだだもれ語り。気が済むまで吠えてます。UST放送後のネタバレ有りです。
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「今日のキアラは『兎→虎でスポンサー社での毛布を使った切ないな小話を書いてみましょう。新たな扉が開くかも…?」との診断メーカーからの挑戦状を受けて書いてみました。
先に謝っておきます!スミマセン!!!!無駄に長いです。あとバニーちゃんがキャラ崩壊してます。何かもう、こんな人バニーじゃねぇって位甘えたさんです。その上続きます。それでもOKな方はどうぞです。
(基本、文字書きさんじゃないので、文章も崩壊してます。多めにみてやって下さいませ。あと誤字脱字も…気がつかれた方はコソッと通報願えればと思います。)




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{手のひらのぬくもり」



ヒーローの仕事が「市民を護る為に戦う」だけではないと言うことは、この仕事に就く前から分かり切っていたことだ。分かり切ってはいたのだけれど、連日のようにマスコミ取材を受け、スポンサーのご機嫌を伺い、接待に明け暮れて、ゆっくり一人の時間を過ごすことがこれほど困難なことだとは思わなかった。

今日も取材の後、慣れない接待でうっかり飲み過ぎてしまった。他人と関わることは時間の無駄だとしか思っていなかった頃に覚えたお酒は、寂しさを紛らわすために一人で飲むものだと思い込んでいた。今日みたいに慣れない他人のペースで飲まされると、変な酔い方をしてしまう。
接待相手が用意してくれたタクシーを適当なところで降り、夜風を感じならほんやりと夜道を歩く。
気がつくと足は勝手にアポロンメディアのオフィスに向いていた。
人気のないロビーを通り過ぎ歩き慣れた廊下の奥から、細い灯りが見える。まさかと思いながらこっそり部屋をのぞき込むと、海の底のような深い緑色のシャツが目に飛び込んできた。
散らかった紙の上で気持ちよさそうに眠りこけた虎徹さんの背中は起きているときより随分と小さく見える。
今時、始末書を手書きで書いている人なんて、この人くらい何じゃないかと思うのだけど、何度教えても手書きの方が早いからとパソコンの使い方を覚えてくれない。そのくせ、こんな時間までオフィスに残って残業しているのだ。
床に散らばっている書き損じの書類を拾い集め、仮眠用の毛布をロッカーから取り出し眠る虎徹さんに掛けてやる。毛布のぬくもりを感じた所為か、一瞬表情が軟らかくなった。少しオフィスに寄り道しただけなのに、無防備に眠る虎徹さんのそばから離れがたくて、手持ちぶさたになった指が勝手に傍らで眠る人の髪を梳く。よほど疲れているのか一向に目を覚ます気配がないのを良いことに、触れる指は大胆さを増していく。
何故これほどまでにこの人に触れていたいのかも分からないまま、その頬に小さく口づけを落とした。


「友恵・・・」


うわごとのように、 呟かれた一言は、初めて聞く名前だった。
それは決して外されることのない薬指の指輪で永遠を誓い合った人の名だろう。この人の中には大切な人がいる…ずっと分かっていたことなのに、小さな毒針で刺されたみたいに胸が痛みが走った。それでもまだ僕の指はこの人の髪を梳くのを止められないでいる。
どのくらいそうしていただろう。ぴくりと肩が動いて、ゆっくりとまどろみから覚めるように開かれた暗い琥珀色の瞳がみるみるうちに大きくなる。
「バニーどうした?何があった?」
起きるなりそう言って髪に触れていた僕の手を掴み抱き寄せ、不安げに見開かれた琥珀色の大きな瞳で僕をのぞき込んで問いただす。目の前の虎徹さんは何故かオロオロしている。
「何んで泣いてるんだ?」
その言葉で初めて、自分が涙をこぼしていたことに気がついた。何か言い訳しなければと思っても、言葉が見つからない。それより声さえ出せなくなっていた。嗚咽こそ漏れないものの、涙は意志に反して止めどなく零れてくる。
そんな半ば放心状態の僕を抱き寄せた虎徹さんが急に顔をしかめた。
「なんだバニー、酒飲んでるな。お前泣き上戸?」
けらけらと笑いながら言う。


そう、きっとお酒の所為だ。だからこんな風に自分でも説明の付かないことをしてしまったんだ。ぴりぴりと痛む胸に封をして、泣き笑いみたいな表情を取り繕い虎徹さんから離れようと立ち上がる。その寸前に虎徹さんにしっかりと抱きすくめられた。眠っているときはあんなに小さく見えてた身体が、今度はとてつもなく大きく感じる。そのまま胸の中に顔を埋められ、今度は僕の方が頭をなでられる。
その手のひらのぬくもりを感じたとたん、堰を切ったように止まりかけた涙があふれ出す。今度はもう声さえ殺すことを忘れて子供のように泣きじゃくってしまった。
何が悲しいのか、何故涙があふれたのか、理由さえ分からぬ涙が涸れるまで虎徹さんは言葉を発することなく、ただただ僕の涙を受け止めてくれていた。


<つづく>



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